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【秋田県支部】第3回研修会「認知症高齢者のケア」「カンフォータブル・ケア」「行動制限最小化の基本と実際の取り組み 認知症・高齢者の行動制限最小化について」(2020/1/10掲載)
日時:令和元年7月11日(木)10:00~16:00
会場:さきがけホール
講師:医療法人 北仁会 旭山病院 認知症病棟 看護師長 南敦司先生
今回の研修では県内外より38名が参加されました。午前の講演では認知症医療の中で精神科病院が目指すべき方向性、看護スタッフがケアを行う事でBPSDが緩和し短期間の入院で施設や自宅へ戻る事ができる対応技術の1つとして、南先生が提唱されたカンフォータブル・ケアの基本を学んだ。カンフォータブル・ケアとは認知症高齢者に快刺激を中心に関わる事で、①認知症高齢者の周辺症状の緩和が期待できる②生活の質向上が期待できる③援助者のモチベーションが期待できる、認知症高齢者への基本的対応技術。南先生の勤務されている認知症病棟では、スタッフ全員がカンフォータブル・ケアで関わる事でBPSDが長くても入院後2~3日で軽減され、BPSDによる脳へのダメージも最小限に抑えられ早期に退院されているとの事でした。スタッフ全員が出来る限り認知症の方への不快刺激を取り除き、快刺激を与える看護技術を続ける事は大変だが、快刺激を与える事で患者から陽性感情を受け、陽性感情を受ける事でスタッフが患者への愛着が生まれ、モチベーションの向上やプロ意識が発生してくる効果も見られるとの事でした。
午後の行動制限最小化についての講演では、南先生が実際に取り組んだ病棟スタッフの意識改革方法を学んだ。また家族へBPSDに対して行動制限を続けると、周辺症状の悪化・廃用症候群・QOLの低下など症状を悪化させる事、転倒・転落に対する危険性について家族と共有し家族に行動制限するかしないかを選択できるようにする必要も知った。最後に「認知症は発症から約10年かけてゆっくりと死に向かうターミナルケアである」と話され、自分の家族が認知症になったら、自分の病院に入院させたいですか・入院させられますか?との問い掛けに、参加者全員が認知症看護を深く思い考える1日となった。
記:大館市立総合病院 菅原雅広
【秋田県支部】精神科訪問看護研修会 5/24(金)~26(日)秋田県JAビル 受講申込終了しました(2019/5/10掲載)
精神科訪問看護研修会~基礎編~
2019年5月24日(金)~26日(日)
会場 秋田県JAビル
定員に達しましたので、受講申込の受付を終了いたしました。
(キャンセル待ちも受付終了)
【秋田県支部】第10回研修会「行動制限最小化」(2019/01/11掲載)
行動制限最小化についての研修会が2018年11月16日(金)秋田さきがけホールにて、医療法人稲門会 いわくら病院の精神科認定看護師の武田慎太郎先生を講師とし、開催されました。
昨今の精神科医療において入院患者、高齢者認知症患者の増加に伴い危険防止、人手不足の観点から隔離、拘束を行う事例が増加傾向にあります。秋田県内においても同様で『最悪の事態を想定して事故防止を行う』考えから隔離拘束を選択せざるを得ない場合が多く、中々最小化が難しい状況が続いています。
そんな精神科医療の現状において京都いわくら病院では『最高の結果を目指して』行動制限の最小化に取り組んでいます。基本的に病院の出入り口は解放されており、隔離は休憩場所として施錠はなるべく行わず、ベット拘束が出来ないよう隔離室は布団が敷ける程度の大きさに徹底されているとの事です。
その取り組みは大変困難なようで、まずは行動制限最小会員が先頭にたち管理者、主治医、看護師、当事者、家族など多職種との連携を図り隔離14日、拘束4日以上の場合は関わり合いについてカンファレンスを行い必要性を書面にし、必要性を検討するなどしていったとの事です。当初は各職種から煙たがられたとの事ですが、長年の継続で次第に協力体制が出来『当事者本人の為に隔離拘束の軽減、または解除』に向けて加療するに至ったとの事。看護師は当事者の言葉を傾聴し当事者の言葉の奥にある心を理解する『メンタライス』を意識して対応する役割を担った。無論興奮状態にある当事者から聞き出すことは困難で、先生自身も幾度となく負傷する事はあったらしいです。
隔離拘束の最小化は医師、看護者、家族のみならず地域全体の理解が不可欠でありクリアするべき問題は多いですが、今後の精神科医療の参考に出来ればと考えます。
記:秋田回生会病院 渡邊雅之
【秋田県支部】第7回研修会「初任者研修Ⅱ」(2019/01/11掲載)
2018年10月5日
講演
「精神障がい者の理解と看護、関わり方」
講師:一般社団法人日本精神科看護協会 秋田県支部長 髙橋 恵利子 先生
「感染対策の基本について」
講師:秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 感染管理認定看護師 鈴木 美子 先生
「精神疾患の理解」
講師:医療特定法人 菅原病院 院長 菅原 和彦 先生
「精神保健福祉法、社会資源について」
講師:秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 精神保健福祉士 佐藤 篤先生
参加者:52名 施設見学者:17名
記載:能代厚生医療センター 江畠知生
今回の研修会は参加者52名と多数の参加であり、中には県外から来ていただいた方もいました。講演は4つ行われ、午前中は日本精神科看護協会の秋田県支部長である髙橋恵利子先生より、精神障がい者の理解と看護についてご講演していただきました。講演の中で先生は精神科看護に携わる者としての姿勢についてもお話しており、医療者と患者では当たり前は同一ではないこと。疾患だけではなく、その人自身への理解が精神科看護に重要であることを学びました。2つ目の講演では、感染管理認定看護師である鈴木美子先生より感染対策の基礎と精神科病棟での感染リスクと課題(衛生指導等)、その対策について学びました。午後からは菅原和彦先生より、統合失調症や認知症等の精神疾患そのものについて講演していただき、精神疾患への理解を深めました。4つ目の講演では佐藤篤先生より、精神保健福祉法と社会資源について講演していただきました。精神医療を支える法律のみならず、精神科救急システムの概要やそこで行えている業務等の説明を含め、秋田県内で精神障がい者をどのように支えているのか学ぶこともできました。
講演終了後には施設見学が行われ、秋田県立リハビリテーション・精神医療センターではどのような医療が行われているのか、患者に快適な環境づくりのためにどのような対応をしているのか実際に見学できる機会が設けられました。
【秋田県支部】第6回研修会「地域移行・地域生活支援」(2019/01/11掲載)
日時:平成30年9月7日(金)9:00~16:00
場所:さきがけホール
テーマと講師:
①地域移行・地域生活支援
講師:未来の風せいわ病院 理事長 智田 文徳先生、看護部長 古川 厚先生
②精神科認定看護師と退院支援について考える
講師:秋田県立リハビリテーション精神医療センター 精神科認定看護師 伊藤 智幸先生
岩手県立一戸病院 精神科認定看護師 東森 敏之先生
未来の風せいわ病院 精神科認定看護師 菅原 佳奈子先生
JA秋田厚生連能代厚生医療センター 精神科認定看護師 内藤 建介先生
記:JA秋田厚生連能代厚生医療センター 江畠 知生
今回の研修では、約20名の方が出席されました。午前の講演では、講師である智田先生と古川先生より、未来の風せいわ病院で行われている地域移行機能強化病棟の取り組みについて学びました。現在、精神看護において、地域医療・地域生活支援への移行促進が進められていますが、家族の介護力不足、独居の患者、通院、患者の状態と利用できる制度・支援のズレ、家族の受け入れ等、地域移行・定着で直面する課題も多いです。未来の風せいわ病院では、患者が地域へ移行できるよう意欲喚起プログラムや家事や服薬管理等の訓練を行っているとのことでした。当事者を「頑張らせる」のではなく、当事者の「希望」からこれならやりたいと感じられる接点を見つけてアプローチする方法を心がけることが重要であると古川先生は話していました。古川先生の講演後にはグループワークを行い、受講者同士で自分たちの職場では地域移行・定着のためにどのような取り組みを行っているのか、地域とのつながりはどうなのか、地域移行について弊害となっていることは何か、職場での地域包括ケアシステムに対する理解度等について意見交換を行われました。
午後の講演では、精神科認定看護師である伊藤先生より、退院支援について講演が行われ、多職種との連携や退院にあたっての生活の課題とその解決のための意識改革(ストレングス、リカバリー、エンパワーメント)等の重要性について学びました。伊藤先生の講演後には退院困難事例を基にグループワークを行い、自分たちであればどのようにして支援していくか、講演での学びを活用し意見交換を行いました。各グループには精神科認定看護師である東森先生、菅原先生、内藤先生がファシリテーターとして参加し、活発な意見交換が行われました。
講師の皆様、貴重な講演をしていただきまして、ありがとうございました。
【秋田県支部】第5回研修会「看護のための認知行動療法」(2018/10/17掲載)
日時:平成30年8月18日(土)10:00~16:00
場所:秋田市さきがけホール
講師:国際福祉医療大学 成田看護学部看護学科 教授 岡田佳詠先生
認知行動療法についての研修会が行われました。県外3名、県内23名、13施設からの参加がありました。
認知行動療法は、うつ病の治療法として研究・開発されましたが、現在では大体全ての疾患に適応できるエビデンスがあるそうです。研修を受けた外来看護師は加算がとれるようになりました。また、外来だけでなく、私たち精神科に携わる者にとっては、臨床や訪問看護での活躍が見込まれている治療法であります。今回の研修では、認知行動療法についての基礎的な知識から、具体的な進め方まで講義していただきました。
認知行動療法とは、認知・行動への働きかけにより、セルフコントロールする力を高める心理療法です。認知のアンバランスは誰でも経験するものですが、うつや不安など、情動的な問題を抱えているとき、ストレスが強いときなどに生じやすいとされています。健康な人は適当に考えを切り替えることができますが、情動的な問題がある場合、悲観的、極端、偏り、非合理的、非現実的などの考えにとらわれてしまいます。認知行動療法の進め方は、構造化した面接を通して、課題の抽出と、目標設定を共に行い、社会生活上のさまざまな問題の改善や課題の解決をはかっていきます。1回30分以上の面接を16~20回行うことにより効果があるとされています。医師が外来で行う場合、10分設定で行うこともあるそうです。構造化した面接のコツは、ブレーンストーミングの要領で解決策を案出することです。そして、患者との協働関係の構築が大切になります。
認知・行動の技法には、ノーマライジング、問題解決技法、アサーションなど、臨床で活用している理論が数多く含まれています。認知行動療法を学ぶことは、臨床での応用にもつながります。今回の学びを臨床の現場で活かしていきたいと思います。
記:市立大曲病院 上野剛
【秋田県支部】「精神科看護研究論文発表会」(2018/10/17掲載)
日時:平成30年7月27日(金)
会場:秋田県立リハビリテーション・精神医療センター内講堂
県内各施設より38名が参加し、12題の精神科看護研究論文が発表されました。
◆第Ⅰ群
(座長 JA秋田厚生連能代厚生医療センター 精神科認定看護師 内藤建介)
第1席 デスカンファレンス定着に向けた取り組み~手順書の見直しをして~
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 沢畑 素子
第2席 閉鎖病棟への危険物の持ち込み防止対策~危険物チェック表の作成と活用
特定医療法人荘和会 菅原病院 須藤 公明
第3席 地域移行に向けた私物管理の推進
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 加藤 真一
第4席 精神科における初回訪問看護に病棟看護師が同行して
市立大曲病院 草彅 岬
◆第Ⅱ群
(座長 秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 精神科認定看護師 大山由香)
第1席 唾液分泌促進につながる口腔ケアを試みて
~昆布茶・レモン水・洗口液を使用して~"
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 宮沢 明日華
第2席 認知症治療病棟におけるインフルエンザアウトブレイク
~アウトブレイクを防ぐ方法を考える~"
医療法人回生会 秋田回生会病院 菅原 薫
第3席 精神科療養病棟できざみ食からソフト食へ移行した効果
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 伊藤 歩
第4席 アルツハイマー型認知症の人への足浴、カフェインを取り入れた昼寝の効果
大館市立総合病院 安井 光太郎
◆第Ⅲ群
(座長 秋田県立リハビリテーション・精神医療センター 精神科認定看護師 伊藤智幸)
第1席 看護師主体の心理教育後に外来通院している統合失調症者の服薬の受け止め
~怠薬による再入院を経て退院したA氏の一例~"
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 工藤 純
第2席 自閉傾向のある統合失調症患者へのADL拡大と対人関係の構築に向けた関わり
JA秋田厚生連 能代厚生医療センター 精神科病棟 松木 芳久
第3席 幻聴や被害妄想が強い患者への看護面談による行動変容
~認知行動療法的アプローチを取り入れて~"
医療法人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 豊島 康弘
第4席 精神疾患患者に於ける異性患者とのコミュニケーションスキル向上について~調理活動を通して~"
医療法人回生会 秋田回生会病院 渡辺 大
◆講評
秋田しらかみ看護学院 柴田 守 先生
研究論文発表後、柴田守先生より各題ごとの講評と看護研究における論理的配慮とその記述方法やパワーポイントを作成する際の注意点なども教えていただけた。
また全体的に研究内容が向上しており、各施設に持ち帰り活用できるような研究になっていると講評をいただいた。
今回の研修を参加者全員が各施設に持ち帰り、臨床の場で役立て、より良い看護を提供していけるのではないかと思う。
記) 大館市立総合病院 菅原 雅広
【秋田県支部】第3回研修会に参加して(2018/10/17掲載)
日時:平成30年7月20日
会場:秋田市さきがけホール
研修内容:「ストレングスモデルを活用した支援・対話」
講師:聖路加国際大学教授 萱間 真美先生
他県に比べてまだ猛暑とは言えませんが、暑い日が続いています。
今回は40名(うち県外4名)の参加がありました。
午前中は精神科地域ケアとストレングスモデルと題して精神科看護の基本的な事から講義されストレングスモデルと問題解決モデルとの比較について、当事者の希望を実現させるため、当事者が持つ強み(ストレングス)を生かした生活を支援し、「できること」を重視し自信を高めていく最適な方法であるという。
また先生は講義や研究以外にも、精神科訪問看護の実践されており、実例を交えながら当事者や家族との関わり方を話されていました。
午後からは二人ペアになって午前に説明されたストレングスマッチングシートを使用し自分のしたいこと、夢について自身の思いをお互い語り合いながら、聞き手と共有することでお互いを分かりあえる演習を実践しさらに自分の夢について2週間で何をしたいか具体的な目標を立ててもらい、和やかな雰囲気でそれぞれ話を聞いていた印象をもちました。
最後に実際、シートを活用している施設もありどうしても問題思考に陥ってしまう悩みや質問もされていました。
記 興生病院 佐藤真由美
【秋田県支部】第2回研修会「初任者研修Ⅰ」(2018/09/07掲載)
日時:平成30年6月22日(金)10:30~16:10
場所:さきがけホール
テーマと講師:
コミュニケーション技術、講師:日本赤十字秋田看護大学、熊地美枝先生
精神科におけるチーム医療、講師:医療法人久盛会、秋田緑ヶ丘病院、看護部長、工藤正志先生
精神科看護の歴史と課題、講師:医療法人回生会 秋田回生会病院、看護部長、佐々木元先生
空梅雨が続きます中、精神科初任者研修が行われ、約50名の方が出席されました。コミュニケーション技術では、看護師は患者と心理的距離が近い立場であり、コミュニケーションとは、そのスキル、援助的コミュニケーションについて講演されました。実際に研修者同士で向き合い、話す時の姿勢で相手がどういった印象を受けるのか、コミニュケーションをとりやすくする関係にはどうしたらいいのか、そしてどう相手と向き合っていくのか演習を行いました。コミニュケーションでは誤解やずれが当たり前で疾患に罹患し不安や、怒りを持つ患者さんに看護師は話やすい環境づくりをし寄り添い(沈黙やそばにいること)面接技法、カウンセリング技法を用いて関わっていく、その方法を講演していただきました。
精神科におけるチーム医療では、精神看護で働いている人方はどんな職種の人だろうかという切り口から始まりました。参加者の方に思いつく職種を上げてもらい、一つ一つ特徴を説明されました。またチーム医療とは、そのもたらす効果やその考え方はどう変化して、今後その変化に与える要素について話されました。その一部で、過去と現在は、医師志向型システムから問題志向型システムや疾病志向型システムから問題志向型システムへ変わり、患者と少し距離をとって機能してたチーム医療も今は患者と協働して患者や家族が抱える問題に取り組むといった考え方に変化しました。チーム医療は評価(診療報酬)されており、自分の働いている職場が何の加算をとっているのか大事で調べておくよう言われました。今後チーム医療を推進するためにはカルテの一元化やクリニカルパスの作成と運用などがあることを講演されました。
精神看護の歴史では世界の精神医療(中世ヨーロッパ400年〜17世紀)と日本の精神医療(飛鳥時代から700年頃〜現代まで)を当時の絵、写真などの資料を交えて講演されました。公演の最後に歴史に学び、精神障がい者への差別と偏見を払しょくする。人権を尊重し、インフォームドコンセントを基盤としたケアを行う、社会的入院を防止し、社会復帰を促し、地域でその人らしい生活が継続できるよう援助する。精神科看護の専門性を高め、精神的健康について支援を必要としている人々が安心して暮らせる社会を作っていくことがあげられました。
【秋田県支部】第一回研修会「臨床ですすめる看護研究」に参加して(2018/08/30掲載)
日時:平成30年5月11日(金)10:00~16:00
場所:秋田県生涯学習センター
記 :市立大曲病院 上野剛
講師:群馬県立県民健康科学大学 准教授 龍野浩寿先生
平成30年度の秋田県支部研修会が始まりました。今年度も興味深い研修がたくさん予定されておりますので、学習に役立てていただきたいです。
今回の講師は、日本精神科看護協会で常務理事を務めておられた龍野先生でした。表題にある通り、看護研究のすすめかたについてわかりやすく講演していただきました。
忙しい業務の合間を縫って行う看護研究には、やらされている感、何をすればいいかわからないという苦手意識、シフトが合わない、発表が苦手など、マイナスイメージが付き物です。こうした悩みを抱えている方には目から鱗が落ちる内容で、研究当番がきても怖くなくなりました。
研究開始し、作戦会議から看護研究計画書作成までの段階が、研究全体の60~65%を占めているそうです。ここでは、研究チーム全員でブレーンストーミングをしながら、頭に思いついたことを出し合っていきます。研究論文をペラペラめくりながら話し合うと良いようです。自分たちがやりたい研究が定まったら、論文を検索して、参考研究を見つけます。あとは参考研究に沿った内容でデータ収集をします。龍野先生は、「なにか新しいことをやらなければいけないと思うかもしれませんが、根拠のないやり方をするよりは過去の研究を参考にした方が良い。査読を通っている論文なので信憑性は高い。」と話されておりました。研究パスや、病棟全体を巻き込むには師長の力を借りることなど、具体的な内容を教えていただき、看護研究が身近なものになりました。また、日精看HPから文献を検索する方法もご教授していただきましたので、会員の方々に利用してもらいたいと思います。貴重な講演をしていただきまして、ありがとうございました。
【秋田県支部】第10回研修会(2017/12/22掲載)
医療法人財団赤光会 斎藤病院理事・看護部長 片平真悟先生より「精神科領域における身体合併症看護」を、東京女子医科大学八千代医療センター 理学療法士 片平真帆先生より「誤嚥・肺炎予防のためのポジショニング」を講演いただき、県内各施設から37名が参加し、学びを深めた。
片平真悟先生からは、精神科領域において、不穏や興奮など精神症状が優位に出現するため身体疾患を見落としやすい事、はじめから精神症状と決めつけない事、“いつもと違う”と気づいた時には意図的・積極的な関与と観察を行い、早期に対応する事、またいつもとは角度を変えて・視点を変えて病気を診る事の大切さを学んだ。
片平真帆先生からは、食事摂取時の誤嚥予防の姿勢や呼吸音の確認方法、痰が貯留した際の強側臥位のポジショニングなどを学んだ。呼吸音の確認では実際に聴診器を使用し、聴診ポイントを確認しながら自身や相手の呼吸音を聴取した強側臥位のポジショニングも実際に目の前で行って頂いて、分かり易く学ぶことが出来た。
今回の研修会で学んだ事を実際に臨床の場で役立てて行きたいと思う。
記:大館市立総合病院 菅原雅広
【秋田県支部】第9回研修会「境界性パーソナリティ障害の理解〜対象理解と関わりのヒント〜」(2017/12/22掲載)
日時:平成29年11月17日(金)10:30~15:30
場所:秋田県生涯学習センター
講師:北海道医療大学 看護福祉学部 准教授 八木こずえ先生
初雪が16日に降り、日に日に冬近づく中、26名の方が研修に参加されました。
精神看護専門看護師でもいらっしゃる八木先生が患者さんの対応で困った事が少なくない境界性パーソナリティ障害(以下BPD)の理解についてわかりやすく教えてくださいました。研修の内容は大きく分けてBPDの基礎知識などの講義とグループワークを通してBP Dの看護体験などを参加者同士で話しそこから学びを得るものでした。
パーソナリティ障害とは何かから講義は始まり、グループワークでこれまでどんなBPDの方に出会い、関わりにおいて何が起き、困難だったこと、苦労したこと、学んだことを参加者同士で話し合いました。
次に、BPDの看護の原則(病理による対応)、①近づいて離れる関係性の理由を知る。②「分裂」による心の病理と操作性を知る。③自分の心と病棟の対人関係に投射する。
BPDへの具体的な対応(アプローチの4つの原則)①一貫していること、②確固としていること、③公正であること、④自分で責任をとらせること、最近の治療法としてメンタライゼーションという精神療法を教わりました。
その後BPDの事例検討をして、BPDのよくある思考パターンやBPDをめぐるナースの悩みを考えていきました。参加者からはその職場であった体験や対処方法など活発な意見交換がなされていました。BPDを迎える基本姿勢として、一部抜粋ですが、個人では治療者の自己愛を傷つけ不愉快の感情を引き起こす病理。悪者になるかどうかは患者の気まぐれ気分。チームではBPDを勉強会などで共有しましょう。早期にBPDにきづけるNsを増やしましょう。
巻き込まれ経験を通して成長する自己理解が不可欠であり、チームで成長する目標として以下がありました。①チーム対応が原則で、②早めのキャッチができ、③困難の強さ(BPD度)をアセスメントでき、④BPD度に応じて、対応・限界設定が考えられ、⑤チーム連携で①から④が対応でき、⑥自分の感情反応を理解でき、対処し、安全・安定感を保持できる。⑦チームとしての過剰反応がなくなり、⑧チーム全体がBPD病理に汚染されても自浄機能・回復機能が働く。
最後にBPDの看護のポイントとして、①自分たちの治療力を見極める。②振り回されない事がなぜ治療的か理解する。③理解することを通じて自己統合化を助ける。という事でした。
グループワークでは意見交換が活発に行われ、境界性パーソナリティ障害について理解が深まるとともに最新の治療法についても触れられ、大変勉強になりました。
記:協和病院 高橋 寿和
【秋田県支部】第5回研修会「他科に誇れる精神科の専門技術 メンタルステイタスイグザミネーション」(2017/12/22掲載)
日時:平成29年9月15日(金)10:00~16:00
場所:秋田県民会館 ジョイナス
講師:武藤 教志 先生 (宝塚市立病院 精神看護専門看護師)
記:市立大曲病院 上野 剛
メンタルステイタスイグザミネーション(以下MSE)の講演が行われました。県外3名を含め、46名の方が参加されました。
MSEとは、「観察に基づいて得られた精神症状・心理反応・セルフケア(暮らし)に関する所見を、精神医学的病歴やその患者が受けている薬物療法(治療)とともに関連付けて考えて、患者の健康の回復やリカバリーの実現に寄与するような、臨床的に意義のある判断をし、あらためて所見として記述すること。」であり、精神科の基礎的ながらも高度な専門技術の習得、看護師が自分で考えて行動できるようになり、一人前の精神科看護師になるうえでかかせない技術です。
武藤先生は、「他科には客観的データがあり、疾患の兆候が数値化・画像化でき、それに基づいて治療方針や看護方針が決められ、疾患の経過を追うことも容易です。しかし、精神科では身体科のように客観的で保存的なデータがほとんどありません。それに代わるものは、診療録や看護記録といった記録です。精神科疾患が確かにそこにあるという客観的証拠も私たちの記録であり、症状を評価するためのものも私たちの記録です。ですから、観るべきものをきちんと観察し、それを客観的データとして記録を書くことが、精神科の専門性であり、それを行うための専門技術MSEが必要になるわけです。」と話されました。看護記録に関して悩んでいる方が多いと思われますが、その記録が他科に誇れることを講義していただき、参加者の多くは根拠にのっとった記録を書きたいというやる気を出させてもらっていました。
午後の講義では、練習問題でMSEのやり方を実際に行いました。精神科看護記録にはアセスメントできるSOAPが適しているそうです。フォーカスチャーティングを取り入れている病院が大半でしたが、SOAPを推奨されておりました。記録のコツとして、患者が話した内容を省略せずに全て書くこと。それにより、会話の内容がケアの根拠となります。先生の例題で、回りくどかったり、話があちこち飛ぶ内容の長い話を記録してみましたが、全て暗記して書くことは不可能でした。患者の話を聞くときはメモを取りながら聞くことが必要とのことでした。その会話の内容を、外観、意識、記憶、認知、感情、意欲、思考、知覚、自我の9つのカテゴリーに分類し、アセスメントすることにより、患者の個別性を捉え、精神症状を扱うことができるようになるそうです。
実際MSEをやってみた感想は、難しかったです。しかし、精神科看護の臨床経験を重ねる上でとても大切な技術であると実感しました。MSEを実践することにより、普段の仕事から精神科看護の質を高めることができます。MSEをマスターして、自信を持って精神科看護に取り組みたいと思います。貴重な講演をしていただきありがとうございました。
【秋田県支部】第4回研修会「看護実践にいかす認知行動療法」に参加して(2017/12/22掲載)
平成29年9月2日(土)に秋田市のシルバーエリアにおいて、講師に国際医療福祉大学成田看護学部看護学科教授 岡田佳詠先生をお招きし、テーマに「看護実践に活かす認知行動療法で講演いただきました。
参加者は県内外から48名参加され、岡田佳詠先生の講話に耳を傾けていました。
認知行動療法とは認知・行動への働きかけにより、セルフ・コントロールする力を高め、社会生活上のさまざまな問題の改善や課題の解決をはかる心理療法である。
うつ病、パニック障害、不安、怒りなどの感情問題、ストレス関連障害、対人問題、各種依存症、摂取障害、統合失調症などに効果をあげている。
認知行動理論をベースにした看護の展開は、アセスメント、目標設定、計画立案実施、評価と進める過程を具体的に話され、認知行動療法の概要は少し理解できたと思います。
今後も勉強し、患者さんの問題解決が出来るように努力していきたいと思います。
記:横手興生病院 佐藤孝和
【秋田県支部】第3回研修会「看護研究論文発表」に参加して(2017/12/22掲載)
日時:平成29年7月28日(金)10:00~16:00
場所:秋田県立病院機構リハビリテーション・精神医療センター講堂
7月22日夕方からの大雨で雄物川流域に被害を出してから一週間、県内各地の精神科病院から43名の方が参加され、10題の看護研究発表。秋田しらかみ看護学院、柴田守先生から講評が行われました。
1群 1席 患者家族を取り残さない看護と家族の不安軽減(横手興生病院)
2席 効果的な暴力行為への介入場面について、暴力行為に至る原因の調査から(大曲市立病院)
3席 デスカンファレンス方法の明確化に向けて(秋田緑ヶ丘病院)
4席 入院時アナムネーゼシートの作成と有用性について、精神科急性期病棟におけるアナムネ聴取項目を見直して(菅原病院)
2群 1席 閉鎖病棟から地域移行機能強化病棟に、転棟を控えた患者の生活能力を高める援助(横手興生病院)。
2席 服薬アドヒアランス向上のための取り組み(協和病院)
3席 精神科急性期治療病棟における統合失調症患者の心理教育による効果(秋田緑ヶ丘病院)
3群 1席 社会復帰施設見学をした患者の意識変化(秋田緑ヶ丘病院)
2席 患者の不安を軽減し退院へ繋げるために(横手興生病院)
3席 退院計画表を用いた長期入院患者の退院支援(秋田緑ヶ丘病院)
午後から柴田先生の講評が行われ、Ⅰ、看護研究の種類と研究デザイン、Ⅱ、検定法のフローチャートの説明があり、各研究の講評がありました。
パワーポイントはフォントはゴシック体が好ましく、アニメーションはあまり用いず、一画面ごとの字の大きさは出来るだけ大きく簡単にすること。
発表画面を参考にし、16:9や4:3を調整すると見やすい。テーマは誰が見ても分かりやすくし、論文の中で分かりにくいものは定義づけをするとよい。使用した文献は原著論文を使い、評価スケールなどを用いる際は作成者の許可を取ってからするのが原則。
考察では結果を受けて、自分たちの研究の結果と他の研究者の文の引用で比較検討の内容をのせる方がいいなどとても勉強になりました。
協和病院 高橋 寿和
【秋田県支部】第22回東北精神科看護学術集会 in 秋田 パンフレットに誤りがありました(お詫び)(2017/8/9掲載)
第22回東北精神科看護学術集会 in 秋田 ご案内に誤りがございました。
ホームページ最終項及びパンフレット最終ページ
【参加申込書】締切日
誤 8月29日(火)
正 8月25日(金)
ご不便、ご迷惑をおかけいたしまして、深くお詫び申し上げます。
【秋田県支部】第2回研修会「初任者研修会1」に参加して(2017/7/21掲載)
日時:平成29年6月9日(金)10:00~16:00
場所:秋田県生涯学習センター
記:横手興生病院 佐藤真由美
「精神科看護の歴史と課題」
講師:医療法人回生会 秋田回生会病院 副看護部長 佐々木 元 先生
「精神科におけるチーム医療」
講師:医療保人久盛会 秋田緑ヶ丘病院 看護部長 工藤正志 先生
「コミュニケーション技術」
講師:日本赤十字秋田看護大学 大山一志 先生
今年度より初任者研修会の充実を目的として深く学ぶため、年2回の開催となり、1回目として49名の参加がありました。
今回は3名の講師の方より精神医療の「歴史」「チーム医療」「コミュニケーション」について講義していただきました。
「歴史」については、主に差別と偏見について、心に問いただす内容も交えて、日本の精神医療の過去から現在に至るまでの流れを学習することができたと思います。
「チーム医療」については、チームについての特性や変化、現在は患者さん中心から患者・家族も参加する患者思考・問題思考システムに制度として求められていること、また関わる職種全ての役割を改めて確認できた内容でした。
「コミュニケーション」については、基本から対象をまずは知ることと意識の配分として、その部分だけを観察するのではなく視野を広げる非言語的コミュニケーション方法についても学び、いくつかの演習にてお互い体験する事により、表現する側とその相手の表現を見極める事の難しさを知ることが出来、言葉よりも表情・しぐさ身振りの方が重要な役割であることを認識し、それぞれ学ぶことが出来たと思います。
1回目に参加された方には、是非次の研修にも引き続き参加していただき、これからの現場でも経験に活かしていただきたいと思いました。
【秋田県支部】第1回研修会「臨床ですすめる看護研究」(2017/6/9掲載)
日時:平成29年5月12日(金)10:00~16:00
場所:シルバーエリア
平成29年度日精看秋田県支部研修会が始まりました。
第1回は5月12日(金)秋田市のシルバーエリアにおいて、講師に群馬県立県民健康科学大学看護学科准教授、龍野浩寿先生をお招きし、テーマに「臨床ですすめる看護研究」で講演いただきました。
参加者は、県内各施設から25名参加し、龍野先生の話に耳を傾けていました。
日頃より看護研究は難しい、仕事と両立ができない等の暗いイメージが会員の中から聞かれることが多くあり、今回の研修で看護研究のすすめるための基礎的知識を学び、クリニカルパスを利用し、タイムスケジュールに添って進めていくと簡単に看護研究ができることがわかりました。
また文献検索の方法、学会や学術集会で発表できる論文投稿事項も詳しく講義され、看護研究の必要性をあらためて理解することができました。
日精看秋田支部では、今年度も10回の研修会と「こころの日」、スポーツ交流会を企画しております。会員の多数の参加をお待ちしております。
記:横手興生病院 佐藤孝和
【秋田県支部】第9回研修会「虐待・暴力の心理とアンガーコントロール」(2017/4/3掲載)
日時:平成28年12月2日(金)10:00~16:00
場所:秋田県生涯学習センター
強い北風とみぞれ交じりのあいにくの天候のなか、山形県、岩手県など、県外3名を含む35名が参加され、秋田県支部第9回研修会が開催されました。
午前は、日本赤十字秋田看護大学看護学部教授 山田典子先生による「暴力・虐待における心理について」の講演がありました。
最初に、隣席の方々との自己紹介で始まり、和む雰囲気になったところで、先生が専門に取り組んでおられる身近な所で起きる暴力(性暴力・虐待)について、性暴力の定義、種類、問題に向き合う際の立場、加害者と被害者の関係性の説明、そして、警察庁公表の「犯罪に関する統計」や「内閣府の男女間における暴力に関する調査」資料により、性暴力の実情を知る事ができました。
「権力の構造により、暴力・支配が生じ、権力、権利の縦の構造で支配されてコントロールされている」こと。
「人権を抑圧する為に暴力が用いられている」こと。
暴力の使われ方は、合法的な力で相手を支配できない場合に、犯罪、DV、虐待が使われ、支配しようとするなど。
また、「自分の不全感を隠すために暴力が使われ、意識と関係なく、被害者、加害者の立場が生まれる現状があり、暴力を振る人の根底には「何らかの不安があり、感情の背後にある認知と体験が情動や行動の結果としての暴力があること。加害を防ぐためにも、非暴力の文化を築く必要がある」などなどの講演が行われました。
午後は、医療法人菅野愛生会緑ヶ丘病院 精神科認定看護師 野津春枝先生と社団医療法人報昌会本館病院 精神保健福祉士 高橋英輔先生による、「アンガ-コントロールトレーニング」について講演が行われました。
「アンガ-コントロール(AnCoT:アンコット)」は、現在、患者様が行う、怒りの対処法でDV、加害者支援にも活用される様になっているとのお話で、運営方法、怒りの対処法を「個別AnCoT」と「自由参加型AnCoT」について、事例を通しての講演がありました。
*「個別AnCoT」に於いては、
1)AnCoTは外に向けられる怒りの感情の他に内に向けられる怒りの感情にも活用できる。
2)強烈な感情を爆発させる前に言語化し周囲にSOSを発信する練習材料となる。
3)選択肢が広がる一助となる。
4)本人にとって「安心して自分の感情を共有できる場」を作ること。自身の成長を感じ、将来の目標に向かう事のツールとなる。
また、AnCoTにより、「アクシデントの減少にもつながった」との報告もありました。
*「自由参加型AnCoT」においては、集団精神療法のイメージで(みんなの力を借りて改善へ)セッションを進めているとの講演でした。
研修会参加者によるセッションでは、「デートDV」をテーマに、ロールプレイを通し、怒りの対処法を体験することができました。
「AnCoT」の進め方や導入時の患者様の決め方、注意点などのアドバイスをいただき、講演を終了しました。
今回の研修会に参加し、身近で暴力・虐待が発生していることを実感するとともに、「暴力や虐待における心理的な要因」と「怒りに対する対処法」を学ぶことができました。
ご講演いただきました講師の皆様、誠にありがとうございました。
記:笠松病院 青山一夫
【秋田県支部】第8回研修会(2016/12/16掲載)
日精看秋田県支部第8回研修会が秋田県生涯学習センターにて行われました。「発達障害への理解と傾向・対策」と題し、特定医療法人仁政会サンクリニック院長の肥田野文夫先生を講師にお招きして講義していただきました。県内15施設より38名の参加がありました。
肥田野先生の小児療育に携わってきた豊富な知識と経験をもとに講義していただきました。発達障害の概念はあいまいで漠然としているため、他の疾患と区別がつかなくなり、発達障害としてくくられていることが多いということでした。発達障害の症状の関連図を描いてくださり、自閉症、ADHD、学習障害、アスペルガー症候群の疾患別に症状が重複する範囲を教えていただきました。また、統合失調症で現れる一般的な症状は発達障害では現れず、否定しないと区別できなくなるそうです。しかし、発達障害、知的障害が統合失調症に罹患する率が高いということでした。今回の研修では、症状を観察する視点を教えていだだいたので、臨床に役立てたいと思います。
上野 剛
【秋田県支部】第4回研修会(2016/9/23掲載)
「行動制限最小化への取り組み」
日時:平成28年8月26日(金)10:00~16:00
場所:秋田県生涯学習センター
佛教大学の吉浜文洋先生より「行動制限最小化への取り組み」と題して講演がありました。看護師である私たちは、医師の指示のもと、患者さんに対して、身体拘束や隔離を日常的に行っている場面に少なからず会います。精神科で働く場合には、認知症患者の徘徊防止や精神症状の精神運動性興奮による自傷他害の恐れがあり、治療環境の調整で隔離拘束を行うこともあると思います。全国では行動制限の方法が原因で罰せられる事例が起きています。隔離拘束をする可能性がある医療従事者として行動制限の最小化の正しい知識を身に付けることは必要不可欠なことです。研修の中で、「医療者が一方的に患者をコントロールする病棟文化から、患者と協働してパートナーシップのもとに問題に取り組む病棟文化へ」と提唱されています。
午前中は現状と課題について講義がありました。精神科医療において、日々私たちは行動制限と向き合い続けているが、隔離・身体拘束は現状は減少する傾向がありません。精神保健福祉法の中の行動制限を通して、基礎知識を学びました。午後は7人程度のグループに分かれて隔離拘束に関わる事例検討をしました。その中で隔離身体拘束の解除の3形態(1、症状改善などによる通常の解除:医師が隔離身体拘束の必要性を認めないとして解除。2、療養上の世話に関連した一時解除(中断):洗面、入浴、排泄、隔離室の清掃その他日常生活援助に伴う解除。3、解放観察:本格的な解除が可能かどうか観察するための解除)。行動制限に対する倫理についての講義がありました。
最後に、隔離・身体拘束最小化の視点でまとめがあり、行動制限は、一定の要件の下でしか許されない人権の制限である事を認識しているか。制限を行わない事のリスクを考慮しつつ、3要件を厳しく判断しているか。チームでの判断を心がけているか。解除の見通しを持っているか。患者の視点で考えようとする姿勢を持っているか。行動制限の判断基準や手続きを病院・施設の都合で解釈していないか。自施設の倫理感覚を他者の視点で点検する姿勢を持っているか。とあり講義が終わりました。行動制限の知識が深まり、グループワークで他の病院の方と意見交流もありすごく勉強になりました。
協和病院 高橋寿和
【秋田県支部】第3回研修会(2016/9/8掲載)
「日精看秋田県支部精神科看護研究発表会に参加して」
今回、研究発表会には49名の参加がありました。
9題の研究発表で行われ、内容的にはアンケート調査、家族の面接法、職員や患者さんと対象とした研究に主に分類されていました。発表自体は時間通りにスムーズに行われておりました。
会場からの質疑が少なく残念ではありましたが、座長からの質疑には的確に応答されていたと思います。
午後からの柴田守先生からの講評については、全体的な評価と論文1題ずつの細かい評価をして頂きました。昨年も講評して頂き、指導・助言した内容が今回活かされており、またここだけに留まらず持ち帰り共有して是非伝達してもらえればいいと思います。
横手興生病院 日精看幹事広報担当 佐藤真由美
【北海道・東北地区】第21回東北精神科看護学術集会のお知らせ(2016/8/26掲載)
【秋田県支部】第8回研修会報告(2016/1/15掲載)
「退院支援と地域定着支援」
平成27年10月24日(土)第8回研修会が秋田中央地区老人福祉エリアで行われました。「退院支援と地域定着支援」と題し、講師に、公立大学法人山形県立保健医療大学大学院保健医療学研究科精神看護学領域准教授であられる安保寛明先生をお招きして講演していただきました。県内外14施設より33名の参加がありました。
国の施策として退院支援・地域移行が促進されています。安保先生が以前勤務されていた病院では、退院支援を行うことで、5年間で5年以上の長期入院患者を200名地域移行させることができたという実績があります。そのために必要なデイナイトケアの拡充を行うことにより、慢性期病棟ひとつ分の医療収入を得ることができたそうです。地域移行を実現させるために必要なノウハウを、ご自身の経験を踏まえ講演していただきました。
退院支援を進めるにあたり、最初に取り組んだのはデイナイトケアを拡充させることだったそうです。退院後一人暮らしを始める患者の大きな問題は食事の心配です。9:00~19:00の10時間デイナイトケアを利用していただくことで2食分の食事を提供することができます。さらに、3食提供するサービスも行えるようにしていき、食事の不安を軽減することができたということでした。そして、訪問看護も取り入れ、コメディカルや病棟と連携を密にして情報を共有することにより、問題が生じたときすぐにフォローできる体制をとるなど、地域移行の障害となることを考え、対応していくことにより実現できたということでした。
精神科慢性期病棟では、何十年も入院されている患者もめずらしくありません。そうした方々は一生を病院で過ごすことに何の疑いもなく、むしろ退院して生活することに不安を感じています。私たち臨床で働く者からみても退院する姿がなかなか想像できない方もいます。しかし、そうした患者も地域で生活するようになると、デパートでジェラートを食べるなど自分で楽しみを見つけるようになり、活き活きと生活されている方が多いとのことでした。就労された方も12名おり、再び自分が人生の主役になることができたそうです。安保先生は、退院支援は5年後には必ず必要になるとおっしゃっていました。医療チームのコーディネーターとしての役割を発揮するために必要な技術を学ぶことができました。
記:市立大曲病院 上野 剛
【秋田県支部】第7回研修会報告(2016/1/15掲載)
10月2日から3日にかけ第7回研修会が横手市の「鶴が池荘」で行われました。
今回の研修会は精神科看護管理者研修会で講師に獨協医科大学看護部精神看護学教授の天賀谷隆先生を迎えテーマに「他職種連携に向けた提案」で講演されました。
天賀谷先生は教授の他に日本精神科看護協会の副会長の職にあり、協会の話題や学生の行動、性格などユーモアを交え講演されました。参加者は県内の施設から部長、師長、主任などの管理業務に携わる方々で13施設34名、山形県からも1名参加されました。
1日目はチーム医療、看護実践の環境の変化、専門職の特性、クリニカルパス、チーム医療における看護の業務、役割、看護師の機能と権限等を幅広く、わかりやすく説明されました。また懇親会においては天賀谷先生を囲み地酒の話、協会の話などに会話が弾み、ついつい本音が飛び出し楽しい懇親会でした。
2日目はグループ討議で5グループに分かれ、自分の施設で抱えている問題や疑問点などを出し合い、それに対し自分の施設ではこうしていると具体的に話し合いました。また個人的な悩み事も先輩の部長、師長に話すと同じことで悩んでいたりして同調でき、適切なアドバイスを受けることができました。宿泊研修はいいですね。来年も参加したいと思います。
平成27年10月13日 横手興生病院 佐藤孝和
【秋田県支部】第6回研修会報告(2016/1/15掲載)
1.日時:平成27年9月11日(金)
2.場所:秋田県立リハビリテーション・精神医療センター
3.研修内容
「精神科看護の歴史と課題」講師:医療法人回生会秋田回生会病院 副看護部長 佐々木元先生
「精神障害者の理解と看護」講師:一般社団法人日本精神科看護協会 秋田県支部長 高橋恵利子先生
「精神疾患の理解」講師:医療法人久盛会秋田緑ヶ丘病院 医師 鈴木稔先生
「精神科におけるチーム医療」講師:医療法人久盛会秋田緑ヶ丘病院 看護部長 工藤正志先生
4.感想
今回の研修会には54名の参加者があり、看護師以外に看護補助者、他職種方々が参加されました。
研修会の講義内容として精神科看護の歴史、精神障害者の理解と看護、疾患の理解、チーム医療について4人の講師の方に話していただき、参加者が普段の業務の中で患者さんと関わりながら、まだ手探り状態にある自分の振り返りができ講義を聴くことで精神科看護の理解へとつながることができたと思います。
講義内容の流れ的にも、前の講義内容を振り返りさせながら自分の医療現場において比較することができ、今後に活かしていくのではないかと思いました。
特に最後のチーム医療については、様々な職種の方が参加されることでそれぞれの役割、歴史を理解し再確認することができたと思います。
記録:医療法人興生会横手興生病院 幹事 佐藤真由美
【秋田県支部】第4回研修会報告(2016/1/15掲載)
7月24日、秋田県立病院機構リハビリテーション・精神医療センター講堂において第17回精神科看護研究発表会が開催されました。
参加者42名、研究発表は7施設12題で3郡に分かれ1郡の座長に日精看秋田県支部教育委員長の山手昭彦氏、2郡の座長に日精看認知症領域認定看護師の大山由香氏、3郡の座長に日精看秋田県支部副支部長の渡部州一氏、講評に秋田しらかみ看護学院の柴田守先生をお招きして行われました。
今回の研究テーマには「インシュリンの自己注射が出来る」「肥満改善」「車椅子安全ベルトの開発」「ハンドマッサージ」「不眠時頓服薬の与薬判断」等の発表に対し参加者からも質問があり活発な意見交換がみられました。
講評においては柴田守先生が、1席ずつ評価項目をあげ表題、背景、目的、方法、倫理、結果、考察、結論、文献について資料を配布し解りやすく説明、アドバイスしてくれました。
参加者からは看護研究の必要性を再認識し次回の発表会を楽しみにしていますとの声が多く聞かれました。
横手興生病院 佐藤孝和
【秋田県支部】第3回研修会報告(2016/1/15掲載)
6月13日に秋田県学習センターにおいて第3回研修会が開催されました。講師として東京都立駒込病院看護担当科長の相馬厚先生をお招きし、テーマ「精神科における身体合併症の基礎」について講演をいただきました。参加者34名は真剣な表情で耳を傾けていました。相馬先生は臨床経験をもとに精神症状と身体症状を併せ持つ患者の看護、向精神薬の影響は便秘、イレウス、尿閉、肥満、悪性症候群など、隔離・身体拘束の影響は血行障害、神経損傷、肺血栓塞栓症、ストレス性潰瘍など観察が大切と話されていました。
身体合併患者の大変なところは認知障害、理解力、コミュニケーション能力の低下、教科書どおりに出現しない身体症状、様々な精神疾患が混在し対象の理解が難しい。また、合併症をみる基本的スタンス、フィジカルアセスメントを詳しく説明され具体的な事例紹介もあり、時間の経過が早く感じる研修会でした。今回の研修を今後の看護に生かしていきたいと思います。相馬先生ありがとうございました。
横手興生病院 佐藤孝和
【秋田県支部】第1回研修会報告(2016/1/15掲載)
講師:金子亜矢子(共済組合東京共済病院 精神看護専門看護師)
「患者指導にも役立つコーチングの基本的スキル」を学んだ。
コーチングの基本的な考えとして、コーチングは協働関係でその人の気づきを促し、その人の主体的取り組みをサポートすること、というのが基盤となっている。
講義を受けながら、スキルが必要な場面では、その都度2人、4人、6人、8人などのグループに別れ、実際にそのスキルを体験した。
コーチング時の環境設定(場所・時間・位置・距離・高さ)や傾聴、承認、質問、提案などの方法を学び相手に話す際に、どのように話をするのか、同じことを伝えるにも怒りなどではなく自分が相手をどのように思っているのかを伝える。また、「視点を変える」という考えも大切である。
このようなことを学び、看護実践や後輩指導に生かしたいと思う。
大館市立総合病院 菅原雅広